第74回 国連総会ドナルド・トランプ大統領の演説(日本語訳)
国連本部 ニューヨーク州、ニューヨーク、ロックフェラー一族私有地
2019年9月24日 東部夏時間午前10時12分
日本語訳:織田哲司
大変有難うございます。議長、事務総長、素晴らしい代表者の皆様、大使の皆様、そして世界のリーダーの皆様。
この会議場を70年という歳月が流れていきました。
それは豊かでまたドラマティックな歳月でありました。
私が立っているこの場所で冷戦期の最中、世界は大統領や首長たちの声を聞きました。国家が産声を上げる姿も目にしました。革命の首謀者を目にしました。我々を希望によって鼓舞してくれた聖人たち、我々を情熱でかき立てた反逆者たち、我々を勇気で奮い立たせてくれた英雄たちを目にしました。皆、プラン、プロポーザル、ビジョンそしてアイデアを分かち合うために世界でもっとも大きなこの舞台にいたのです。
これまでに私たちと出会った人たちと同じように、我々の時代は激しい競争、大きな危険、そして明白な選択を有した時代です。
世界中そして歴史の中を分け隔てる根本的な分断線はまたもやはっきりと姿を現しています。
それは、支配への渇望によって、自分は人を支配するよう運命づけられていると思い違いをさせられている人々と、支配するのは自分自身だけで十分だと思う人々や国々のあいだを走る分断線なのです。
今日私は、自由と独立、そしてなかでも自らの統治を誇りに思う国家の選挙で選ばれたリーダーとして皆さんに話しかけるという、とてつもない光栄に浴しています。私が選挙で選ばれて以来、我が偉大な軍を完全に再建するために、2.5兆ドル(約270兆円)を支出した今、アメリカ合衆国はこれまでになく世界で最も強力な国家でもあります。できることならこの軍事力を決して使用することがないよう望むものです。
アメリカ人は知っています。他の人々が征服や支配を追い求める世界の中で我が国は富と力と精神において強くあらねばならないことを。だから、我が国は今の我々を作ってきた伝統と習慣を力強く守るわけです。
愛する我が国と同様に、この会議場に代表を送っている各々の国は歴史と文化と伝統を大切にしてきました。
それらは守り、祝福するに値するものですし、われわれに並外れた潜在力と強さを与えてくれるものです。 自由な世界はその国家の基盤を大切にしなければなりません。国家の基盤を消し去ったり置き換えたりしようなどと試みてはなりません。
この大きく、荘厳なる惑星をあまねく見渡したとき、真実はすぐに見つかります。
もしもあなた方が自由を欲するならば、あなた方の国を誇りに思いなさい。
もしもあなたが民主主義を欲するならば、あなた方の主権を大切にしなさい。
そしてもしもあなた方が平和を欲するなら、祖国を愛しなさい。
賢明なるリーダーはいつもその国民の善とその国を第一に考えます。
未来はグローバリストたちの手中にはありません。
未来は愛国者にこそあります。
未来は独立主権国家にあるのです。
何故ならばこのような国家こそ自国民を守り、隣国を尊重し、そしてそれぞれの国を特別で唯一無二の存在にさせている違いというものに敬意を払うからです。
そのようなわけで、アメリカ合衆国において我々はワクワクするような国家再生プログラムに乗り出しております。我々が行う全てのことにおいて、我々は国民の夢と願望を後押しすることに集中しているのです。
成長を促す我々の政策のおかげで、我が国の国内失業者数はこの半世紀以上ものあいだで最低レベルを記録しています。税と規制を大幅に削減した結果、今、仕事は歴史的な割合で創出されています。ここ3年のうちに600万人ものアメリカ人が就業者名簿に仲間入りを果たしました。
先月のことですが、アフリカ系アメリカ人、ヒスパニック系アメリカ人そしてアジア系アメリカ人の失業者数はこれまでになく低い割合となりました。我々は我が国の膨大なエネルギーを管理しつつあり、我が国は今や世界の中で石油と天然ガスを産出するナンバー・ワンの国となっています。賃金は増え、収入は急上昇し、250万人ものアメリカ人はここ3年足らずの間に貧困から抜け出しています。
米軍の力を比類なきものへと再建するにつれて、パートナーの国々すべてが巨額の防衛費を公平に分担するよう強く求めておりますが、そのことが我々の同盟関係をも再活性化しつつあります。何故ならば、過去には我が国がその負担を負ってきたからです。
国家の再建へ向けた我々のビジョンの中心には国家間の貿易を改革するという大掛かりなキャンペーンがあります。何十年もの間、国家間の貿易システムはたいへん不誠実なふるまいをする国によっていとも簡単に食い物にされてきました。
仕事がアウトソーシングされるにつれて、中産階級の犠牲のもとにほんの一握りの人々だけが豊かになりました。
我が国ではその結果として、過去四半世紀以上もの間に420万もの製造業が失われ、15兆ドル(約125兆円)の貿易赤字が生じました。アメリカ合衆国はその由々しき経済上の不公正に終止符を打つべく断固たる行動をとりつつあります。我々の目標はシンプルなことです。
つまり、公平かつ対等なバランスの取れた貿易を求めているわけです。まっさらで希望に満ち、すべての国が賛成するアメリカ・メキシコ・カナダ協定をNAFTA(北米自由貿易協定)に置き換えるべくメキシコとカナダのパートナーと緊密に作業をしてきました。
明日、日本の安倍晋三首相とお目にかかります。共に進み続けて、素晴らしい貿易協定を作り上げます。
イギリスはEU(欧州連合)から離脱する準備をしておりますが、我々はイギリスとこれまでにない新しい貿易協定を作り上げる心づもりがあることを明らかにしております。その協定によって、米英両国に対してとてつもない利益がもたらされるでしょう。そのためにボリス・ジョンソン首相と緊密に作業をしているところです。
貿易に関する我が国の新しいアプローチの中でこれまでと最も大きな違いは中国との関係に関わるものです。中国は2001年にWTO(世界貿易機関)への加入を認められました。
当時のわが国のリーダーは、この決定により中国は自国経済の自由化を余儀なくされ、我々が受け入れられない物品の供給、それは個人の資産に対しても法の支配に対してもですが、それを厳格に止めるであろうと主張しました。果たして20年後、この考え方は試練に直面し、完全に誤っていたことがわかりました。
中国は約束した改革を行うことを拒否したのみならず、巨大な市場障壁に依存する経済モデルや巨額の国家補助金、為替操作、製品のダンピング、強制的な技術の移転、そして大規模な知的財産および貿易上の機密品の盗用を容認してきました。
ほんの一つだけ例を挙げますと、私は先日、ホワイトハウスでミクロン・テクノロジーというわが国のすばらしい企業のCEO(最高経営責任者)とお目にかかりました。ミクロン・テクノロジー社は数えきれないほど多くの電子機器で用いられているメモリー・チップを製造している会社です。ところが中国の国家が所有していると言われるある会社が、中国政府の五か年経済計画を推し進めるのを目的として87億ドル(約9600億円)にも達すると評価されるミクロン社の設計図を盗み出したのです。
その中国企業はほどなくしてミクロン社とほとんど瓜二つの製品に対する特許を取得し、ミクロン社には中国での商品販売を禁じてしまいました。そして今、我々は裁判に訴え出ているところです。
WTOには大胆な変化が求められています。世界第二の経済を有する国家が、他社を犠牲にして制度を悪用するために自らを「発展途上国」であると宣言することなど許されていいはずがありません。
長年にわたり、この制度の濫用が許容され、目を背けられ、そして促されさえしてきました。グローバリズムは過去のリーダーたちに対して宗教的ともいえる幅の利かせ方をしていたため、彼らは自分自身の国の利益を考えないようになっていました。
しかしアメリカに関する限り、そのような日々は過ぎ去りました。このような不公正な慣習と対決するために、私は中国製品に対して5000億ドル(約55兆円)以上もの関税を課すことにしました。この関税の結果として、すでにサプライ・チェーンはアメリカや他国へ戻りつつありますし、何十億ドルものお金が我が国の国庫へ支払われているところです。
アメリカ国民は中国との関係においてバランスを回復させるために断固とした決意を固めています。米中両国に対して有益な同意が得られることでしょう。しかしはっきりと申し上げますが、私はアメリカ国民にとっての悪い取引を受け容れるつもりは毛頭ありません。
我々の関係の安定化を図るために、香港での状況もまた注意深く監視しているところです。
世界は、中国がイギリスとの間で交わされ、国連にも記録が残されている、その拘束力のある条約を尊重するようもっぱら期待しているわけです。その条約の下では、中国は香港の自由、法体系、そして民主的な生活様式を守ることにコミットするのです。
中国がいかにして現在の状況に対処するのかを見れば、未来において中国が世界に対してどのような役割を果たすのかがはっきり分かることでしょう。われわれはみな偉大なリーダーとしての習近平主席に期待しております。
アメリカ合衆国はいかなる他国とも紛争を求めるものではありません。我が国は全ての国々と共に平和と協力、そして相互の利益を欲しております。しかし私はアメリカの利益を守ることにかけては決して譲ることはありません。
人々を大切にする国家に対する今日の最大の安全保障上の脅威の一つはイランにおける抑圧的な政権であります。イランの政権がなしてきた死と破壊の記録は我々皆が知るところです。イランは世界でナンバー・ワンのテロリズムへのスポンサーであるだけでなく、そのリーダーたちはシリアとイエメン両国での悲劇的な戦争に油を注いでいるのです。
同時にイラン政権は核兵器とそれを運搬する手段の開発へと盲進し、国家の富と未来を浪費しつつあります。このようなことが起こるのを決して許すわけにはいきません。
核兵器とミサイルへとひた走るイランをストップさせるため、我々は恐ろしい核合意から脱退しました。なぜならば、それはほんのわずかな時間しか与えてくれませんし、重要な施設への査察を行うことはできず、また弾道ミサイルを対象にしていないからです。
つづきはこちら……..
(織田哲司訳)
アイキャッチ:“Trump Self-Incriminates, Draws Rebuke With Latest ‘Unhinged’ Twitter Rant” Common Dreams
アインソフ談】
- 世界中そして歴史の中を分け隔てる根本的な分断線はまたもやはっきりと姿を現しています。
- 支配への渇望によって、自分は人を支配するよう運命づけられていると思い違いをさせられている人々と、
- 支配するのは自分自身だけで十分だと思う人々や
- (そのような思い違いをさせられている人々によって形成された)国々のあいだを走る分断線なのです。
- 自由な世界はその国家の基盤を大切にしなければなりません。
- 国家の基盤を消し去ったり置き換えたりしようなどと試みてはなりません。
- 仕事がアウトソーシングされるにつれて、中産階級の犠牲のもとにほんの一握りの人々だけが豊かになりました。
- 中国は約束した改革を行うことを拒否したのみならず、
- 巨大な市場障壁に依存する経済モデルや巨額の国家補助金、為替操作、製品のダンピング、強制的な技術の移転、
- そして大規模な知的財産および貿易上の機密品の盗用を容認してきました。
- 自由を欲するならば、国を誇りに思いなさい。
- 民主主義を欲するならば、主権を大切にしなさい。
- 平和を欲するなら、祖国を愛しなさい。
- 賢明なるリーダーはいつもその国民の善とその国を第一に考えます。
- 未来はグローバリストたちの手中にはありません。
- 未来は愛国者にこそあります。
- 未来は独立主権国家にあるのです。
- 何故ならば、このような国家こそ自国民を守り、隣国を尊重し、そしてそれぞれの国を特別で唯一無二の存在にさせている違いというものに敬意を払うからです。
つづき
第74回 国連総会 アメリカ合衆国ドナルド・トランプ大統領の演説(日本語訳) 2
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